新・必殺からくり人(1977〜1978年)

第11 作「新・必殺からくり人」

  • 放送期間(話数):1977/11/18〜1978/02/10(全13話)
  • 放送時間:(金)22:00-22:54
  • レギュラー・準レギュラー出演者
    • 蘭兵衛(高野長英):近藤正臣
    • 噺し家塩八:古今亭志ん朝(三代目)(♯1〜♯7)
    • 小駒:ジュディ・オング
    • 安藤広重:緒形 拳
    • ブラ平:芦屋雁之助
    • 泣き節お艶:山田五十鈴
  • スタッフ等
    • 制作:山内久司・仲川利久(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
    • 脚本:早坂 暁/野上龍雄/安倍徹郎/村尾 昭/保利吉紀/中村勝行
    • 音楽:平尾昌晃
    • ナレーション:緒形 拳(※本作で緒形が演じる安藤広重がからくり人へ仕事を依頼するという設定で前口上を担当)
    • 次回予告:野島一郎(ABC)
    • 主題歌:「惜雪」(詞:喜多条忠/曲:平尾昌晃/編:竜崎孝路/唄:みずきあい ビクターレコード) 
    • 監督:工藤栄一/松野宏軌/蔵原惟繕/森崎 東/南野梅雄 
    • 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
    • 制作:朝日放送/松竹
  • オープニングナレーション(作:早坂 暁、ナレーション:緒形 拳)
 「人の一生は旅に似ていると言いますが本当にそうでございますね 私、安藤広重が旅を描きました東海道五十三次 綺麗ばかりで少しも人の溜息が聞こえてこないとか・・・ そんなことはございません 一枚一枚に切羽詰った恨みと辛み つまりは殺してもらいたい人間をそっと描き込んである仕掛け・・・ お艶さん よっく御覧の上、東海道五十三次殺し旅 よろしくお願い致します」
  • 放送リスト
話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト 備考
製作前史 ・シリーズ通算10作目、シリーズ放送開始から5年を迎え、前期「必殺」の総決算として製作された前作「新・必殺仕置人」の後継番組として、製作サイドは安定した支持層を持つ”中村主水シリーズ”と並ぶ新たな”必殺の柱”となりうる企画を模索すべく、これまでのシリーズでは取り上げられなかった設定を積極的に取り込んだ新作の製作を決定。前年に放送され、玄人筋を中心に高い評価を得た「必殺からくり人」の主要キャスト陣(山田五十鈴、芦屋雁之助、ジュディ・オング、緒形拳(但し、緒形は本作では”殺し人”役ではなく仕事の依頼人として設定された安藤広重役としての出演であり、本編中でも直接的には”からくり人”チームとは一線を画した立ち位置での登場となっている)をそのまま起用、加えてスケジュール都合により本作不参加となった森田健作に代わって、新たなトップクレジット(主役)格として実在人物である蘭学者・高野長英(本作では蛮社の獄により幕府から追われ身となり、漂流者・蘭兵衛として一座に囲われ、からくり人の主力実働メンバーとして活躍するというフィクション設定がなされている)役で近藤正臣を新レギュラーに迎えて(近藤は本作が「必殺」初参加)、安藤(歌川)広重の「東海道五十三次」をベースとしたシリーズ初の”道中物”作品として本作を企画・製作(「からくり人」シリーズ第3弾)。歴史上の人物(高野長英)が逃亡の道中の過程で成り行き的に”殺し屋”の一味に加わる設定、「東海道五十三次」には広重の”無残の死を遂げた弱者の恨みと非道への制裁”の念が創作背景として存在しており、からくり人たちに殺しの対象を「東海道―」の浮世絵の中に密かに施したあぶり出しによって知らせ、それを元に彼らが処断を実行するという設定等、「からくり人」でメインライターを務めた早坂暁(本作もパイロット版(第1・2話)及び最終エピソードの脚本を担当)が打ち出した”史実・虚実の融合”というコンセプトが前作以上に明確化された形で人物設定・ストーリー設定の面で数多く盛り込まれ、後の「必殺仕舞人」等に連なる「必殺」シリーズにおける旅物路線の基礎が同作によって確立された。
1 270 1977/11/18 東海道五十三次殺し旅 日本橋 早坂 暁 工藤栄一 草野大悟(笹川妥女)/近藤 宏(藤川儀兵ヱ)/剣持伴紀(同心・渡辺)/大塚国夫(三田屋清造)/牧 冬吉(備前屋)/北見唯一(近江屋)/松田 明(甲州屋) ・本作のサブタイトルは「東海道五十三次殺し旅 (地名)」の形式で統一。
・「東海道五十三次」の”五十三”とは東海道の宿場数を意味するが、同回の舞台である日本橋はこの中に厳密には含まれない(「東海道五十三次」では”江戸出立”(出発時点)として描かれている)。
2 271 1977/11/25 東海道五十三次殺し旅 戸塚 早坂 暁 工藤栄一 岡田英次(蓬莱屋加兵衛)/川口 晶(あき)/岸田 森(紋三郎)/倉石 功(佐市)/西山嘉孝(木曽屋) ・同回の舞台・戸塚は東海道5番目の宿場町。
3 272 1977/12/02 東海道五十三次殺し旅 三島 野上龍雄 蔵原惟繕 加賀まりこ(おのぶ)/和田浩治(小幡弥十郎)/須賀不二男(遠州屋治兵ヱ)/金内喜久夫(駿河屋喜左ヱ門)/大竹修造(清吉) ・同回の舞台・三島は東海道11番目の宿場町。
4 273 1977/12/09 東海道五十三次殺し旅 原宿 野上龍雄 蔵原惟繕 草薙幸二郎(前沢彦十郎)/河原崎次郎(小一郎)/今出川西紀(しの)/不破 潤(関屋弥作)/遠山 欽(白石) ・同回の舞台・原宿(原)は東海道13番目の宿場町。
5 274 1977/12/16 東海道五十三次殺し旅 府中 安倍徹郎 蔵原惟繕 ピーター(春之助)/大林丈史(岩蔵)/アキ[あき]竹城(鬼太郎)/大和田進(乙吉) ・同回の舞台・府中は東海道19番目の宿場町。
・第9作「からくり人・血風編」のレギュラーキャストの一人・ピーターが別役でゲスト出演。
・前期作品で多数エピソードの演出を担当した蔵原惟繕が同回をもってシリーズから降板。
6 275 1977/12/23 東海道五十三次殺し旅 日坂 村尾 昭 南野梅雄 綿引 洪[勝彦](清太郎)/志賀 勝(角造)/志摩みずえ(おその)/赤木美絵(おふじ) ・同回の舞台・日坂は東海道25番目の宿場町。
7 276 1977/12/30 東海道五十三次殺し旅 荒井 安倍徹郎 南野梅雄 鮎川いづみ[いずみ](志ま)/浜村 純(善兵ヱ)/石田信之(文次郎)/深江章喜(五味重四郎)/唐沢民賢(仙次) ・塩八(古今亭志ん朝)が殉職。
・同回の舞台・荒井(新居)は東海道31番目の宿町。
8 277 1978/01/06 東海道五十三次殺し旅 藤川 保利吉紀 南野梅雄 和崎俊哉(村瀬重太郎)/西崎みどり(おせん)/松山照夫(上田徳兵衛)/寺島雄作(嘉助) ・同回の舞台・藤川は東海道37番目の宿場町。
9 278 1978/01/13 東海道五十三次殺し旅 鳴海 中村勝行 松野宏軌 山本麟一(鳴海の重蔵)/横山リエ(お葉)/佐野 守(多七)/田渕岩夫(半次) ・同回の舞台・鳴海は東海道40番目の宿場町。
10 279 1978/01/20 東海道五十三次殺し旅 桑名 保利吉紀 松野宏軌 桜木健一(小吉)/桑山正一(角屋善兵衛)/井原千鶴子(おしの)/千葉敏郎(守村勘十)/玉生司郎(市兵衛) ・同回の舞台・桑名は東海道42番目の宿場町。
11 280 1978/01/27 東海道五十三次殺し旅 庄野 中村勝行 松野宏軌 三ツ木清隆(巳之助)/神田 隆(村田屋清兵ヱ)/幸真喜子(おるい)/五味龍太郎(辰造)/市川男女之助(嘉平) ・同回の舞台・庄野は東海道45番目の宿場町。
12 281 1978/02/03 東海道五十三次殺し旅 大津 保利吉紀 南野梅雄 石橋蓮司(服部重四郎)/佐野アツ子(おしま)/浜田寅彦(宗右衛門)/梅津 栄(運慶)/江幡高志(捨吉) ・同回の舞台・大津は東海道53番目の宿場町。
13 282 1978/02/10 東海道五十三次殺し旅 京都 早坂 暁 森崎 東 山田吾一(佐市)/服部妙子(千代)/外山高士(斎藤嘉兵ヱ)/西田 良(目明し・安次)/北上弥太朗(久我) ・同回の舞台・京都は厳密には東海道の宿場町には含まれない(「東海道五十三次」では終着時点として三条大橋を町民らが渡り歩く様子が描かれている)。
・第1作「仕掛人」から「仕事屋稼業」「からくり人」、そして本作と通算4作品にわたってレギュラー出演し、”非主水”シリーズにおける”必殺”の顔として定着していた緒形拳が本作をもってシリーズレギュラーから勇退。
製作後の展開 ・本作も”腸捻転解消”以降続く(特に”非主水シリーズ”での)視聴率面での低調傾向を打破するには至らなかったが、著名な連作の浮世絵をベースとしたストーリーライン設定や、殺しの依頼を浮世絵に施されたあぶり出しによって露わにさせるという演出に対する反響は高かったため、次の”非主水”作品も「からくり人」シリーズとして、本作の実質上のメインキャラクターであるお艶(山田五十鈴)を続投させ、彼女の率いる一座を中心に据えた本作の続編の製作が決定(「必殺からくり人・富獄百景殺し旅」)。前述の設定等も「からくり人」における道中物路線を象徴する演出・設定として、そのまま続編でも継承されることとなった。

  • 最終更新:2015-07-06 03:57:15

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード