必殺渡し人(1983年)
第20作「必殺渡し人」
- 放送期間(話数):1983/07/08〜1983/10/14(全13話)
- 放送時間:(金)22:00-22:54
- レギュラー・準レギュラー出演者(♯19〜38まで)
- 惣太:中村雅俊
- 大吉:渡辺篤史
- お直:藤山直美
- 銀平:高杉俊介[俊价](♯1〜7)
- 金次:大塚吾郎(♯8〜13)
- 長屋のかみさん:朝比奈潔子(♯1〜6・8・12)/河野清子(♯1〜6・8・10・12)/落合智子(♯1・2・4・11)/中島洋子(♯10・11)
- お沢:西崎みどり
- 鳴滝忍:高峰三枝子
- スタッフ等
- 製作:山内久司(朝日放送)
- プロデューサー:辰野悦央(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
- 脚本:吉田 剛/篠崎 好/中原 朗/山根成之/鶉野昭彦/萩田寛子/三田純市/津島 勝
- 音楽:平尾昌晃/中村啓二郎(ノンクレジット扱い)
- OPナレーション:佐藤 慶
- 主題歌:「瞬間(ひととき)の愛」(詞:三浦徳子/曲:平尾昌晃/編:川村栄二/唄:中村雅俊 日本コロムビア)
- 監督:田中徳三/松野宏軌/原田雄一/八木美津雄/山根成之/津島 勝
- 協力:エグラン演技集団/新演技座
- 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
- 制作:朝日放送/松竹
- オープニングナレーション(作:山内久司、ナレーション:佐藤 慶)
「昔から悪の栄えた試しはないと 世の例えには言うけれど どうやらそうではないらしい 山のあなたの国々も悪が栄えているという 判らない事ばかりだが 判っている事ただ一つ 許せぬ悪を消すことだ この世とあの世の境の場所に 船を浮かべて待っている 三途の川の渡し人」
- 放送リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト | 備考 | |
製作前史 | ・「仕事人」人気を背景に、前々年(1981年)、前年(1982年)と2年連続で企画され大好評を博した「仕事人」の舞台版、「納涼必殺まつり」がこの年(1983年)も京都・南座の8月興行の一環として開催される事になり、当該公演開催に伴う「仕事人」キャスト陣のスケジュール調整や製作準備のために前年同様、夏季期間中の「仕事人」シリーズの製作・放映を中断。この「仕事人」休止中の”繋ぎ”企画として、最初は前年と同じく、ここ2年間、”非主水”路線の新たな看板プログラムとして定着しつつあった「仕舞人」の第3シリーズを製作する案が立ち上げられたが、同作の主要キャストである京マチ子、高橋悦史、本田博太郎の各サイドから同年の夏季スケジュールが既に他作品への長期出演(京はテレビ朝日系ドラマ「女たちの課外授業」、高橋はNHK連続テレビ小説「おしん」他、本田はNHK大河ドラマ「徳川家康」他)で抑えられている事を理由に出演の承諾が得られず(西崎みどりのみ出演続投を受諾)、やむなく「仕舞人」新年の製作を断念。久々の完全新作でシリーズ史上最高潮とも言える盛り上がりを見せていた「仕事人」の”留守”を預かる事となった。 ・一方、およそ”人殺し”の役柄とは結びつかないタレントイメージを持つ俳優を積極起用し、俳優のイメージと役柄とのギャップによって強いリアリティー性を追求するスタンスをキャスティング面での基本方針としてきた製作陣の間では、兼ねてから当時青春ドラマを中心に活躍し、爽快感のあるキャラクターで人気を得ていた中村雅俊の起用を強く推す声があり、これまでも幾たびも新作の製作に際してメインキャスト候補として中村の名が浮上はしていたものの、当時、主役級俳優として何本もの人気ドラマに立て続けに登板し、その合間を拭って音楽活動を積極展開するという多忙ぶりであった中村側の事情もあり、実際にはオファーを出し辛い状況が長年続いていた。ところが、この年は他局系ドラマ(TBS系「外科医・城戸修平」、1983年5月〜8月放送)の撮影終了後、夏季の間は中村のスケジュールに比較的余裕があったため、”中村を大々的に起用するなら今のタイミングしかない”と考えた製作陣は、「仕舞人」に代わる新作の看板キャスト(惣太役)として彼の起用を内定し、中村サイドも出演を快諾。そして、新作における”元締”格(鳴滝忍役)のキャストには、「仕事人」における山田五十鈴、「仕舞人」における京マチ子と、近年のシリーズでは戦前から第一線で活躍を続ける大物女優を起用していた慣例に倣って人選が進められた結果、当時、国鉄の「フルムーン」キャンペーンCMで入浴シーンを演じ話題を集めていた事が決め手となり高峰三枝子の起用が決定(当該起用理由から、本作では”お約束”シーンの一つとして高峰の入浴シーンが挿入されている)。このほか、高峰・中村に次ぐ”第三の殺し屋”役・大吉役にかつて”主水”シリーズ作品である「仕置屋稼業」「仕業人」に密偵・捨松役でレギュラー出演した実績を持つ渡辺篤史、忍(高峰)・惣太(中村)・大吉(渡辺)の”殺し”のサポートを務める大吉の妻・お沢役に西崎みどり、新作の作品世界を象徴するキーパーソンとなる惣太の妻・お直役で藤山直美を中村、高峰に次ぐ主要レギュラーキャストとしてそれぞれ起用(渡辺は上記2作で共演した中村主水役・藤田まことからが彼の”殺し屋”キャストとしてのシリーズ復帰を強く推した事、藤山は実父・藤山寛美が「必殺」の製作会社・松竹の系列である松竹新喜劇の看板役者として活躍していたこと、また寛美と多くの番組関係者の間に古くから強いパイプがあった事が決め手となっての抜擢であったとされる)。中村・高峰という、およそ”殺し屋”のイメージには似つかわしくない両者をメインキャストに据え、シリーズを重ねる毎にコミカル化が顕著となっている「仕事人」シリーズに対する旧来の番組ファンからの批判への対応も兼ねて、あえて近年のソフト路線の流れを一旦絶ち切り、初期シリーズを彷彿とさせるハードな描写を盛り込んだストーリー展開の下、「必殺」の原点に立ち返る事を狙いとした作品として本作が企画されることとなった。尚、本作の番組名に採用された「渡し人」は、放映当時の細川たかしのヒット曲「矢切の渡し」の曲名をヒントとして、”三途の川の渡し人”というフレーズを想起した上で名付けられたものである(この”三途の川の―)のフレーズは番組OPナレーションにも登場する)。、 ・”長屋”という狭い社会で起きる事件を格回エピソードの題材としているため、本作では金銭欲・権力欲よりも特殊な性的衝動・愛欲を満たす事を目的とした悪行が多く、これに関連して性的描写が従来のシリーズ作品にも増して劇中で多用されており、この性的描写の多さが”ハード志向への回帰”を目指した本作のスタンスを象徴付ける重要なポイントとなっている。その一方で、後期シリーズの世界観を好む視聴者層への対応策として、”夫婦愛”や”地域コミュニティの重要性”といった視聴者が広く共感をしやすいテーマを導入。このテーマの下、主要キャラクターの平素での相関性を”夫婦”(惣太・お直、大吉・お沢)、或いは”大家と住人”(忍とその他の主要キャラクター)として設定した上で、登場人物たちの日常生活に関する描写にも力点を入れた演出・シナリオ方針が採られたほか、前作「仕事人Ⅲ」からの急激な世界観の変化を避ける意図から、本作では「新・からくり人」(1977年〜1978年放映)以来続いた”非主水シリーズ=道中物”という図式を崩し、”非主水”作品では久々の”江戸物”として製作された(”非主水”作品で江戸を舞台としたのは1976年放映の「からくり人・血風編」以来)。 ・「仕舞人」初作から続く”主要レギュラーキャストによる主題歌歌唱”の慣例は本作でも引き継がれ、本作ではこれまでの歌手活動での実績を買われ、中村雅俊が主題歌(「瞬間の愛」)の歌唱を担当することとなった。尚、音楽担当の平尾昌晃が本作に際して新たに書き下ろした音楽作品はこの主題歌のみであり、劇中音楽での新作は全て中村啓二郎がノンクレジット扱いで製作を担当している(中村はこの後、連続ドラマシリーズ枠としての最終作(シリーズ第29作)となった1987年の「必殺剣劇人」まで断続的ながら同シリーズの劇伴製作に参加)。 ・本作のサブタイトルのフォーマットは全て「〜渡します」に統一。 |
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1 | 549 | 1983/07/08 | 涼みの夜に渡します | 吉田 剛 | 田中徳三 | 三崎千恵子(お鹿)/松村康世(松江)/外山高士(水野隼人正)/五味龍太郎(籏野伝十郎) | ・「週刊TVガイド」1983年7月8日号内にて本作放映開始に併せた特集(「新必殺シリーズの新・殺しのテクニック」「ぴいぷる・中村雅俊」ほか)が組まれる(同号の表紙タレントは本作主演の中村雅俊)。 |
2 | 550 | 1983/07/15 | 秘密の宴で渡します | 吉田 剛 | 田中徳三 | 田口 計(大口屋宗兵衛)/堀内正美(新之助)/絵沢萌子(お富)/清水めぐみ(お縫) | |
3 | 551 | 1983/07/22 | 大元締の前で渡します | 篠崎 好 | 原田雄一 | 御木本伸介(白不動の元締)/内田勝正(影の男)/永野辰弥(相模屋伝兵衛) | |
4 | 552 | 1983/07/29 | 花火の夜に渡します | 中原 朗 | 原田雄一 | 有川 博(与吉)/内田喜郎(清七)/森田理恵(おえい)/阿木五郎(市兵衛) | |
5 | 553 | 1983/08/05 | 矢切の渡しで渡します | 篠崎 好 | 松野宏軌 | 山本紀彦(弥七)/上野山功一(蝮の三五郎)/岩田法子(小春)/高並 隆(大和屋利兵衛) | |
6 | 554 | 1983/08/12 | 精霊流しに渡します | 吉田 剛 | 田中徳三 | 山本ゆか里(お甲)/山本昌平(山形屋政五郎)/今村良樹(音松)/徳田興人(弥八) | |
7 | 555 | 1983/08/19 | お化け屋敷で渡します | 鶉野昭彦 | 松野宏軌 | 加納 竜(伊助)/田中 浩(源左衛門)/江崎和代(お藤の方)/阿波地大輔(六)/白 礼花(お菊) | ・同回をもって銀平(高杉俊介)が退場。 ・京都・南座にて「南座必殺シリーズ3周年記念公演」と銘打ち夏季恒例の「仕事人」主要キャスト陣総出演による舞台「納涼必殺まつり」が上演される(上演期間:1983年8月17日〜24日。出演:藤田まこと、中条きよし、三田村邦彦、鮎川いずみ、白木万理、ひかる一平、山内敏男ほか。せん役・菅井きんは同公演以降、「納涼必殺まつり」公演には参加せず)。同公演の演目「新・必殺仕事人 必殺・ぼたん燈籠」は番組製作統括の山内久司と主演(座長)の藤田まことが共同で演出を担当。 |
8 | 556 | 1983/09/02 | 祭り囃子で渡します | 篠崎 好 | 八木美津雄 | 浜田 晃(喜平次)/林 優枝(おしの)/御道由紀子(お秋) | ・同回より銀平に代わる”オカマ”キャラクターとして金次(大塚吾郎)が登場。演じる大塚はかつて「必殺必中仕事屋稼業」に同様の性癖を持った同心役でレギュラー出演しており、その経験を買われての起用となった。 |
9 | 557 | 1983/09/09 | 無縁墓地で渡します | 三田純市 | 松野宏軌 | 石橋雅史(赤松玄蕃)/桜井浩子(お紋)/大下哲矢(師範代・門脇) | |
10 | 558 | 1983/09/16 | 湯女風呂で渡します | 津島 勝 | 津島 勝 | 森下哲矢(仙蔵)/北見唯一(喜平太)/福本清三(武藤洋之助)/南条好輝(和助) | |
11 | 559 | 1983/09/23 | 浮世絵の舞台で渡します | 中原 朗 | 松野宏軌 | 加山れいこ[麗子](おゆう)/千波丈太郎(大野)/重田尚彦(芳三郎)/深谷みさお(はつ)/五十嵐義弘(田代) | |
12 | 560 | 1983/10/07 | 二人がかりで渡します | 萩田寛子 | 松野宏軌 | 水原麻記(お京)/原口 剛(文蔵)/高野真二(松井忠直)/笹木俊志(佐々木十三) | |
13 | 561 | 1983/10/14 | 秋雨の中で渡します | 中原 朗 | 山根成之 | 滝田裕介(夢野玄定)/牧 冬吉(辰蔵)/浅見美那(みよ)/安部 潮(助三) |
- 最終更新:2016-04-28 19:41:07