必殺橋掛人(1985年)

第24作「必殺橋掛人」

  • 放送期間(話数):1985/08/02〜1985/11/08(全13話)
    • 尚、1985/10/04は、次作「必殺仕事人Ⅴ・激闘編」の番組宣伝を兼ねた「仕事人」のスペシャル番組「新装(秘)必殺現代版」が編成されたため放送を休止。
  • 放送時間:(金)22:00-22:54
  • レギュラー・準レギュラー出演者
    • 柳次:津川雅彦
    • 新吉:宅麻 伸
    • お光(春光尼):西崎みどり
    • 松:斉藤清六
    • お紺:高部知子
    • お藤:鷲尾真知子(♯7・12・13)
    • お咲:安孫子里香
    • 伊太郎:オサム(現・ぼんちおさむ、♯9~13)
    • 呉服屋番頭:北見唯一
    • おくら:萬田久子 
  • スタッフ等
    • 製作:山内久司(朝日放送)
    • プロデューサー:辰野悦央(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
    • 脚本:吉田 剛/篠崎 好/野上龍雄/中原朗/保利吉紀/石森史郎/林 千代 
    • 音楽:平尾昌晃/中村啓二郎(ノンクレジット扱い)
    • OPナレーション:中村梅之助
    • 主題歌:「さよならさざんか」(詞:宇山清太郎/曲:平尾昌晃/編:竜崎孝路/唄:藤田絵美子 リバスターレコード)
      • 前作「必殺仕事人Ⅴ」に引続き使用。
    • 挿入歌:「もどり道」(詞:只野菜摘/曲:宇崎竜童/編:入江 純/唄:西崎みどり CBSソニー)
    • 監督:工藤栄一/松野宏軌/黒田義之/津島 勝
    • 協力:エグラン演技集団/新演技座 
    • 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
    • 制作:朝日放送/松竹
  • オープニングナレーション(作:山内久司、ナレーション:中村梅之助)
 「十月十日に生を受け 七五三なら祝い事 揉め事 泣き事 勝負事 さらに加えて弔い事 裏切り騙され棄てられる 疲れ果てたらおいでなせぇ この世とあの世の橋掛けに そっと送って差し上げやしょう」
  • 放送リスト(※1985/10/04放送の「仕事人」特番・「新装㊙必殺現代版」を含む)
話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト 備考
製作前史 ・前々作「仕切人」の急激な視聴率の低下に加え、秀(京本政樹)・政(村上弘明)を新キャストとして加入させて番組人気の更なるアップを目指して製作された前作「仕事人Ⅴ」が結果的に勇次(中条きよし)・秀(三田村邦彦)共演の最終シリーズとなった「仕事人Ⅳ」を上回る人気を得られなかったことや、シリーズを重ねることにバラエティ要素を取り込んだ作劇・演出方針に対する不満が視聴者や現場関係者の間でも噴出しつつあった(特に「仕事人」の主役である主水役・藤田まことは「仕事人Ⅳ」撮影中の頃より、仕事料分配や仕事のシーンの極端なパターン化や、時世を過剰に取り入れたストーリー展開に対して「芝居がない」と不満を漏らすことが多々あったとされる)実情を踏まえ、製作陣はシリーズの大幅な路線転換を決断。ハードボイルド色の強い異色時代劇という「必殺」シリーズ開始当初のスタンスに立ち返り、「仕事人Ⅴ」終了後の次回作では、「仕事人Ⅲ」の頃より顕著となっていた時代性を反映した奇抜な作劇・演出を極力廃した、シリアス志向の強い作品作りを目指すこととなり、その演出の要衝として、一時、製作陣との意見相違からシリーズの演出陣から離脱していた工藤栄一を久々に招聘するとともに、主役キャストとして初期シリーズ作品で強烈な印象を残す悪役キャラクターを多数演じた経験を持つ津川雅彦を起用(尚、津川は本作がテレビドラマでは初めての主役起用であった)して、新作「橋掛人」の企画・製作が開始された。このような経緯もあり、作劇・設定面でも過去作、特に「仕舞人」以前の”非主水”作品の定番となっていた「からくり人」シリーズへのオマージュの要素が多分に取り入れられ、特に同シリーズで好評を得た設定(「からくり人」初作における”先代元締の死をきっかけに裏稼業を始める”という設定や「新・からくり人」における”絵紙に隠されたヒントを炙り出して、それを元に具体的な標的や依頼の内容を探り当てる”という設定等)はそのまま本作の作劇面での基本軸として流用されることとなった。尚、劇中で津川演じる反物の行商人・柳次のキャラクター設定として”先代の元締が残した13の仕事をやり遂げたら、再び裏稼業から足を洗う”という設定が導入されているが、これは当初から本作が1クール限定作品として企画されたことを反映してのものである。
・津川以外の主要キャスト陣には、前作「仕事人Ⅴ」での客演ぶりが好評を得た斉藤清六・萬田久子を津川の脇を固める橋掛人夫婦の役でレギュラーキャストに起用(但し、当初の企画段階では「仕事人」の劇場版第2作「ブラウン館の怪物たち」に客演した笑福亭鶴瓶・中井貴恵を夫婦役として起用する予定だったが、両者ともにスケジュールの多忙を理由にこれを辞退。彼らの代替として、斉藤・萬田の起用が決定した。尚、劇中では萬田が殺しの実行役、斉藤は情報収集・サポート役を担当したが、これもキャスティング決定の段階では逆の役回りでの出演を想定していたとされる)するとともに、従来の「仕事人」「仕舞人」の路線を支持するファンを食い止めるため、「仕舞人」初作以降の”非主水”作品に連続でレギュラー出演をしてきた西崎みどり、そして「仕事人」における秀・政のキャラクターを継承する”美形・好青年”の殺し屋キャストとして、当時気鋭の若手俳優として頭角を現し始めていた宅麻伸をそれぞれ起用。このほか、「わらべ」出野活動中での週刊誌でのスキャンダル報道による一時謹慎を経て、この年、本格的に芸能活動を再開した高部知子や、「池中玄太80キロ」(日本テレビ系)等で人気子役として活躍していた安孫子里香を柳次(津川)の後妻役・娘役にそれぞれ起用するなど、時代性を考慮したキャスティングも施された。
・本作のサブタイトルの形式は「~(原則として地名)の××を探ります」に統一(前述の「絵紙(本作では江戸地図)の中から炙り出しによってヒントを得て、そこから仕置の標的や依頼の具体的な内容を探り当てる」という設定が取り入れられたことによるもの)。
・本作の劇中音楽は原則として過去作で使用したBGMを流用する形が採られた(本作主題歌の「さよならさざんか」(唄:藤田絵美子)も前作「仕事人Ⅴ」からの流用。但し、劇中歌「もどり道」(唄:西崎みどり)ほかごく一部については新規製作のBGMを使用)。
1 649 1985/08/02 江戸絵図の謎を探ります 吉田 剛
野上龍雄
保利吉紀
工藤栄一 八名信夫(奈良屋甚内)/本阿弥周子(尾上)/長谷川弘(多助)/下元年世(寅) ・シリーズ10周年記念番組「仕事人大集合」(1982/10/01放送)を最後に一時シリーズを離れていた工藤栄一が3年ぶりに演出陣に復帰、本作のパイロット監督(第1・2話の演出)を務める。
・京都・南座にて松竹創業90周年・朝日放送創立35周年記念公演と銘打ち、「仕事人」キャスト総出演による第4回「納涼必殺まつり」公演「新・必殺仕事人/琉球・蛇皮線恨み節」が上演される(8月3日〜25日、作:山内久司、脚色:鶉野昭彦、演出:櫻井洋三、出演:藤田まこと・鮎川いずみ・京本政樹・村上弘明・ひかる一平・白木万理・山内としお・梅津 栄・島田順司ほか)。
2 650 1985/08/09 佃島のおとめ魚を探ります 保利吉紀 工藤栄一 本田博太郎(浅吉)/竹井みどり(おきみ)/牧 冬吉(佐太郎)/飯沼 慧(清兵衛)  
3 651 1985/08/16 神田のゆうれい坂を探ります 篠崎 好 松野宏軌 西沢利明(佐久間)/根本律子[りつ子](おりん)/堀田真三(三五郎)/滝 譲二(亥吉)  
4 652 1985/08/23 小伝馬町の怪奇牢を探ります 中原 朗 津島 勝 戸浦六宏(重蔵)/上野山功一(高梨)/大下哲矢(辰五郎)  
5 653 1985/08/30 六本木の朝顔を探ります 保利吉紀 工藤栄一 伊藤真奈美(お菊)/升 毅(多聞)/山田はるみ(お蔦)/金尾哲夫(四郎)  
6 654 1985/09/06 本所の七不思議を探ります 林 千代 松野宏軌 黒部 進(長兵衛)/谷口 香(姉小路<お清>)/大竹修造(生田)/徳永まゆみ(お久)  
7 655 1985/09/13 湯島天神の紅梅を探ります 石森史郎 黒田義之 石橋雅史(法念)/石山雄大(天命堂)/井上ユカリ(麻乃)/池田光孝(仙太)  
8 656 1985/09/20 浅草の㊙ドクロを探ります 中原 朗 松野宏軌 山本紀彦(仁平)/親王塚貴子(おもん)/五味龍太郎(弥五郎)/佐藤晟也 (弥市)  
9 657 1985/09/27 柴又帝釈天のトラを探ります 篠崎 好 黒田義之 風祭ゆき(お千賀)/遠藤征慈(政五郎)/永田光男(帝釈天の虎)/岡 幸恵(お里) ・同回より新たなサブキャラクターとして伊太郎(ぼんちおさむ)が登場。

SP6 1985/10/04 新装(秘)必殺現代版
東京六本木・京都円山公園・大阪梅田
3元仕事人ナマ中継
(構成)保利吉紀 ・同年11月より開始予定の「仕事人Ⅴ・激闘編」の番組宣伝を兼ねたスペシャル番組。1982年の大晦日に当時放映中だった「仕事人Ⅲ」の番外編として製作・放映された「(秘)必殺現代版」のダイジェスト編集版を再放送するとともに、その合間に大阪の梅田コマ・スタジアム楽屋・京都市円山公園・東京都六本木の3箇所を中継で繋ぎ、各中継地点にいる「仕事人」のレギュラーキャスト陣(梅田コマからは藤田まこと・白木万理・山内としお・笑福亭鶴瓶(鶴瓶は途中から参加)、円山公園からは鮎川いずみ・京本政樹・梅沢富美男(梅沢は途中から参加)、六本木からは村上弘明・菅井きんがそれぞれ出演)が「激闘編」スタートに向けての抱負やこれまでの撮影での裏話などを玉井孝アナウンサー(ABC)の司会進行の下で語るという生放送バラエティ構成で放送。特別企画として”夢の必殺”コーナーが随時挿入され、藤田・鮎川・京本・村上がそれぞれ自身が考案した奇想天外なシチュエーションの下で仕事を遂行する様子が放映されたほか、エンディングでは「激闘編」の主題歌である「女は海」(京本が楽曲プロデュースを担当)が鮎川の歌唱により生披露された。尚、同特番の放送中に東京で最大震度5を観測する地震が発生し、放送中に速報テロップが数回流れたほか、六本木からの生中継パートでも同中継地点にいた村上がアドリブを交えながら地震発生時の状況について言及するという一幕があった。

10 658 1985/10/11 日本橋の地獄火を探ります 中原 朗 松野宏軌 菅貫太郎(菊之丞)/石濱 朗(茂十郎)/千波丈太郎(五兵衛) ・同週よりテレビ朝日系平日22時台で人気司会者・久米宏をメインキャスターに迎えてのワイド編成の報道帯番組「ニュースステーション」の放送が開始される(10月6日放送開始)。但し、金曜については”週末性を考慮する”という理由から23時台に編成され(内容も月〜木曜とは異なる構成(かつて久米が司会を担当していた日本テレビ系の情報バラエティ「久米宏のTVスクランブル」(1982〜1985年放送)の構成を踏襲した内容)で放送)、22時台は従来通りの「必殺」シリーズ枠として継続されることに。尚、金曜の放送時間のみ1時間ずらした理由としてテレビ朝日側が挙げた”週末性を考慮する”という説明はあくまでも表向きのものであり、実際は、前年にアメリカの独立系報道専門チャンネル・CNNとの提携契約を交わした事を契機として、報道色強化の編成方針を打ち出していたテレビ朝日側は、当初、金曜についても他の曜日と同様に22時台に「ニュースステーション」を編成したいとの意向を持っていたが、かつて東京・大阪間のネットチェンジ(腸捻転解消)時に同シリーズの放送枠が変更され(TBS系土曜22時枠→テレビ朝日系金曜22時枠に移動)、その後「仕事人」路線が軌道に乗るまでの数年間、視聴率面で苦戦を強いられた過去があったため、同編成を強行されることで予想される放送枠の移動によって再び「必殺」の大幅な視聴者離れを招きかねないとの危惧を持った朝日放送側がこの編成方針の受入れに難色を示したため、両局間で金曜22時枠の編成を巡って激しい折衝が展開される事となり、最終的に同年秋の番組改編方針を公式にプレスリリース直前のタイミングでテレビ朝日側が折れる形で金曜のみ「必殺」を優先するという結論に至ったとされる。
11 659 1985/10/18 板橋のウラ仕掛けを探ります 保利吉紀 松野宏軌 松山照夫(六右衛門)/上野山幸一(嘉兵衛)/桂川京子(おしの)  
12 660 1985/10/25 四谷の忍者寺を探ります 石森史郎 黒田義之 潮 哲也(周助)/芝本 正(定七)/北九州男(仁法大僧正)  
13 661 1985/11/08 子連れ刺客の魔剣を探ります 中原 朗 松野宏軌 有川 博(日下部伊織)/宗方勝巳(田所外記)/速水典子(お国の方)/溝田 繁(加納) ・「仕舞人」(1981年)から本作まで”非主水”シリーズ作品に5作連続でレギュラー出演してきた西崎みどり(春光尼役)が本作の終了を以てシリーズから降板。

  • 最終更新:2016-05-18 08:47:54

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