必殺仕事人Ⅳ(1983〜1984年)【♯1〜♯21】
第21作「必殺仕事人Ⅳ」【第1話〜21話まで】
- 放送期間(話数):1983/10/21〜1984/08/24(全43話)(+特別編1回:1982/12/31【「仕事人アヘン戦争へ行く」】)
- 本作は放送期間が「必殺」シリーズ作品としては長期放送に及ぶ(レギュラー話数全43話+特別編1話、通算計44話・3クール超)ため、編集都合から第1話(1983/10/21放映)〜第21話(1984/03/23放映)までの放送分につき、下記にて取り扱うこととする。
- 放送時間:(金)22:00-22:54
- レギュラー・準レギュラー出演者(♯1〜21まで)
- 中村主水:藤田まこと
- 飾り職人の秀:三田村邦彦
- 何でも屋の加代:鮎川いずみ
- 西順之助:ひかる一平
- 筆頭同心・田中:山内敏男[としお]
- 広目屋の玉助:梅津 栄
- お民:林 佳子
- 西巴:三浦徳子(♯1・3・4・11・15・21・22・38・43)
- 西順庵:溝田 繁(♯1・21・41・43)
- 中村りつ:白木万理
- 中村せん:菅井きん
- 三味線屋の勇次:中条きよし
- おりく:山田五十鈴(♯1~3・6~8・10・11・18・19・42・43)
- スタッフ等(♯1〜♯21)
- 製作:山内久司(朝日放送)
- プロデューサー:辰野悦央(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
- 脚本:吉田 剛/篠崎 好/鶉野明彦/中原 朗/野上龍雄/三田純市/林 千代/保利吉紀
- 音楽:平尾昌晃
- OPナレーション:中村梅之助
- 主題歌:「花の涙」(詞:中西冬樹(山内久司)/曲:平尾昌晃/編:竜崎孝路/唄:鮎川いずみ CBSソニー)
- 挿入歌(♯1〜22):「自惚れ」(詞:阿木耀子/曲:宇崎竜童/・編:矢野立美/唄:三田村邦彦 TDKレコード)
- 監督:田中徳三/原田雄一/広瀬 襄/家喜俊彦/黒田義之/松野宏軌/八木美津雄
- 協力:エグラン演技集団/新演技座
- 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
- 制作:朝日放送/松竹
- オープニングナレーション(作:山内久司、ナレーション:中村梅之助)
「近頃世間で流行るもの 押し込み強盗高利貸し 賄賂を貰う偉ぇ人 金、金、金の世の中で 泣くのは弱い者ばかり 涙を拭いておいでなせぇ 恨みを晴らす仕事人 陰膳据えて待っておりやす」
- 放送リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト | 備考 | |
制作前史 | ・関西地区で平均30.9%、最高37.3%という当時の22時台の番組としては驚異的とも言える高視聴率をマークし、概して関西よりも大きく数字の落ち込む傾向の高い関東地区でも平均18%、最高22%と安定した数字を記録、”国民的番組”「NHK紅白歌合戦」の真裏で編成された1982年大晦日放送の番外版「必殺(秘)現代版」も民放で初めて10%の大台をマークしたほか、主題歌「冬の花」(歌:鮎川いずみ)が番組内(特に次回予告)での宣伝が功を奏す形で有線放送を中心にロングヒットとなるなど、シリーズ中でも空前絶後のヒット作となった「仕事人Ⅲ」(以下、前作と表記)の成功ぶりを受けて、同作放映中の早い段階で”主水”シリーズの次回作もレギュラーキャスト・番組構成・物語の世界観をそのまま踏襲・強化する形で「仕事人」続編を製作することが決定(”主水”シリーズ作品において、メインのレギュラーキャストが全く前作から変更されなかったのは本作が唯一)。これも晩夏の恒例となった京都・南座興行「納涼必殺まつり」の稽古・上演に伴うテレビシリーズの製作中断を経て(この期間は”非主水”路線・13回シリーズモノの久々の完全新作として「必殺渡し人」を製作・放映)、1983年秋より「仕事人」シリーズ第4弾となる本作の製作・放映が開始された。 ・シリーズの顔である中村主水(藤田まこと)や「必殺」人気回復の立役者となった秀(三田村邦彦)・勇次(中条きよし)といったメインキャラクターに対する人気と併せて、主水の家族であるせん(菅井きん)・りつ(白木万理)、主水の上司である筆頭同心・田中(山内敏男)といった、主にコメディ要素を担うサブキャラクターにも高い人気を得たことが前作での更なる視聴率上昇に繋がった背景から、本作では、菅井・白木・山内の出演シーンを増やすと同時に新たにコメディリリーフを追加する方針が採られ、そのリリーフ役として前作第37話(1983/06/24放映)で演じた”オカマ”の舞台役者・与五郎役が好評を得た、シリーズ初期からの常連ゲスト俳優の一人である梅津栄を新たに起用。与五郎のキャラクターをそのまま踏襲した梅津演じる”オカマ”の広目屋・玉助が順之助(ひかる一平)を追い掛け回すシーンが新たな”定番”シーンとして挿入されることに。また、当時の人気No.1アイドル・松田聖子を”写真出演”という形で劇中に登場させたり(劇中での松田の役名は”松田屋お聖”。当時、松田が地震の主演映画の中で扮した和装姿のスチールが使用されており、松田本人は近年まで本作に”写真”ながら出演をしている事実を全く知らなかったという)、作劇面でも当時話題の流行や重大事件(ドラマ「おしん」、映画「E.T.」、エリマキトカゲブーム、戸塚ヨットスクール事件等)を土台としたエピソードが多数製作されるなど、これまでの「仕事人」シリーズ以上にコミカル色を前面に押し出した番組作りが展開されることとなった(このような方針が採られたのは、制作統括の山内久司が本作製作当時、毎回異なるエピソードが展開されるドラマよりも数多くのコーナーを毎回同一の構成の中で消化しているバラエティ番組に高視聴率番組が集中していた状況を鑑みて、”芝居をなくし、番組構成をバラエティ番組化させる事が今のテレビの中で「必殺」が生き残る道である”という考えに至ったことが一因とされる)。 ・他方、レギュラーキャラクターをそのまま前作から引き継いだことや番組構成のパターン化によるドラマ面でのマンネリや、ドラマ性を重視する視聴者層からの批判を避ける目的から、これまで天涯孤独の人物として描かれてきた秀(三田村邦彦)を”子連れ仕事人”とする新たな設定を導入。「新・仕事人」におけるおりく(山田五十鈴)と勇次の関係性を流用し、”仕事人チームの一時解散後に出向いた旅先で自分が仕留めた相手の子供を親代わりとして育てる”という設定の下、”家庭人”と”仕事人”の二つの立場の間に立たされた秀の葛藤と”父性”を手に入れたことで更に仕事人としての円熟味を増して行く様子が本作の重要テーマとして描かれ、秀に育てられる少女・お民(林佳子)がドラマ面における本作のキーパーソンとして位置づけられる事に。 ・「仕事人Ⅲ」の放映時、”未成年者が殺しを遂行する””受験勉強などを口実に度々「仕事」に穴を明ける”といった設定に一部視聴者からの批判があった順之助のキャラクター性についても修正が加えられ、本作では親元から独立して、加代(鮎川いずみ)を身元保証人として長屋暮らしを始めるという新たな設定を導入。この設定の下、数々の試練を乗り越えてきたプロの”仕事人”である加代と行動に共にしながら、次第に”仕事人”としての自覚が芽生え始め、”仕事”が発生した際には何よりもまず”仕事”を最優先させる姿勢へとシフトさせることで未熟者であった順之助の成長が描き出されることとなった。この設定変更に伴い、”仕事人”としての役割も”殺し”担当から完全にはずれ、加代とのコンビで主水たちの援護役に回るようになり、その際に用いる”新兵器”としてゴルフクラブの原理をベースとした投石器が登場(ゴルフクラブの原理が組み入れられた理由は下記放送リストの第5話の備考欄を参照)。コミカルな要素を取り入れながら射程距離の調節をしながら投石器を用いて、相手を陽動・気絶させ仕事人たちの敵陣への進出をサポートするシーンは主水の”セコ突き”、秀・勇次の華美な”一撃必殺”と並ぶ”仕事”パートにおける定番シーンとなった。 ・前作の主題歌「冬の花」が「必殺」主題歌としては異例のヒットとなった事から、本作の主題歌「花の涙」の歌唱も引続き鮎川が担当。前作と同様、次回予告や番組内の告知テロップの挿入、各局歌謡番組への出演等による大々的な宣伝活動が展開され、前作に続く好セールスを記録した(尚、同曲の作詞は製作統括・山内久司がペンネーム「中西冬樹」の名義で担当)。 ・本作のサブタイトル形式は原則として「××(本作のレギュラーキャラクターのいずれかの名前が入る) 〜する」の形式で統一。 |
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1 | 562 | 1983/10/21 | 主水 悲鳴をあげる! | 吉田 剛 | 田中徳三 | 神山 寛(長坂平馬)/田中弘史(中田)/下元年世(後藤)/野上哲矢(旗野)/前山哲男(紋太) | |
2 | 563 | 1983/10/28 | 秀、少女の謎を明かす | 吉田 剛 | 田中徳三 | 磯野洋子(浪江)/辻 萬長(十津川鉄山)/須永克彦(堀帯刀)/南沢一郎(鶴松) | |
3 | 564 | 1983/11/04 | 主水 老人問題を考える | 鶉野明彦 | 原田雄一 | 本阿弥周子(お梅)/北原義郎(伝兵衛)/長谷川待子(お種)/荒木雅子(おまつ) | |
4 | 565 | 1983/11/18 | 主水 犬にナメられる | 篠崎 好 | 田中徳三 | 川村真理子(お甲)/澤 亜樹(浅茅)/笠間一寿美(お咲)/津田和彦(石川数馬)/西尾 正(正太)/木村仁美(女中) | |
5 | 566 | 1983/11/25 | お加代 十里早駆けに挑戦する | 林 千代 | 広瀬 襄 | 浅野真弓(お龍)/米村義洋[国村 隼](安)/穂高 稔(目付役・青柳) | ・マラソンを題材にした回(当時、旭化成所属の宗兄弟やS&B所属の瀬古などの有望社会人ランナーの活躍や翌年に控えたロス五輪で初めて女子マラソンが公式競技として採用され、その日本代表の有力選手として当時学生の増田明美がマスメディアで大きく注目されるなど日本国内でのマラソン熱が高潮の兆しを見せていた)。 |
6 | 567 | 1983/12/02 | お加代 商売敵の出現にあわてる | 中原 朗 | 原田雄一 | 佐藤佑介(吉之助)/外山高士(渋井元厚)/西本裕行(小野利明)/遠藤征慈(与力・岡田) | |
7 | 568 | 1983/12/09 | 主水 忘年会の幹事でトチる | 保利吉紀 | 家喜俊彦 | 江戸屋猫八(ピン助)/早川雄三(板倉屋文左衛門)/今出川西紀(お蘭)/堀川まゆみ(花蝶) | |
8 | 569 | 1983/12/16 | せんとりつ 子供をもらう!? | 篠崎 好 | 田中徳三 | 亀石征一郎(小田切勝信)/佐藤万理(お里)/遠藤義徳(小田切秀作)/入江則雅(孝三郎) | |
9 | 570 | 1983/12/23 | 主水 晩めしをすっぽかされる | 野上龍雄 | 田中徳三 | 田中 綾[綾子](お栄)/小林芳宏(利吉)/タンクロー(半九郎)/中井啓輔(庄兵衛)/川浪公次郎(弥平) | |
SP4 | 1983/12/30 | 年忘れ必殺スペシャル 仕事人アヘン戦争へ行く 翔べ!熱気球よ香港へ |
吉田 剛 | 保利吉紀 | アグネス・チャン(劉孟春)/鰐淵晴子(入船屋お北)/近藤正臣(国定忠治)/宮口精二(平賀源内)/栗塚 旭(遠山金四郎)/クロード・チアリ(ナポレオン・ボナパルト)/田中 浩(潘文虎)/ハル・ゴールド(ジョン・ガーテン)/東 悦次(イタチの鉄)/筑波 健(賭場の胴元)/松尾勝人(石川島の役人)/小林加奈代(巫女)/吉田みどり・竹内典子・新堀 芳・山中みき・土居由枝(踊り子) 【ナレーター】玉井 孝(ABCアナウンサー) |
・ 前年の「(秘)現代版」に続く”年忘れ特別篇”として通常の放送時間を1時間拡大(21:00-22:48)して制作・放送。盲目の少女・孟春(アグネス・チャン)から請けた高額の頼み料のかかる”仕事”を受けて、熱気球に乗って遠路はるばるアヘン戦争真っ只中の清国に渡り、麻薬密輸を行う一味と闘う仕事人たちの活躍ぶりを描く異色作。このストーリー展開から本作ではシリーズ初めての海外ロケ(香港ロケ)を敢行、おりく役・山田五十鈴を除くメインの仕事人キャストが同ロケに参加し、キャストたちが役柄そのままの扮装で現代の香港の街中に繰り出す様子を映した映像がOP・ED時に挿入されている。 ・歴史上の人物が複数登場するのも本作の特色であり(本作ではナポレオン、国定忠治、平賀源内、遠山金四郎が登場)、この”仕事人と歴史上の人物との競演”の試みは以降の特別篇でもしばしば踏襲されている。 ・「仕置人」「仕置屋稼業」「新からくり人・富嶽百景殺し旅」と前期シリーズ3作品でメインキャストに名を連ね、前期「必殺」に大きな足跡を残した沖雅也(この年の6月に自宅マンションで投身自殺)への追悼として、本作劇中には前年秋に放送された特別篇「仕事人大集合」に棺桶の錠役で沖が出演した際のバンクフィルムが挿入された。 |
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10 | 571 | 1984/01/06 | 主水 せんを張り倒す | 三田純市 | 松野宏軌 | 佐野アツ子(中老杉乃井)/西園寺章雄(大貫半兵衛)/岐邑美沙子(お秋)/早川 保(柳田公翁)/久仁亮子(お繁の方)/井上十美子(お蘭の方)/大西可容子(女中) | |
11 | 572 | 1984/01/13 | 秀 催眠術をかけられる | 吉田 剛 | 松野宏軌 | 秋野暢子(お京)/伊藤克美・武中秀人・森山陽介(お京の手下) | 後に「必殺まっしぐら!」にレギュラー出演する事となる秋野暢子がシリーズ初出演。秋野演じるお京がおりくを殺害して仕事人グループの乗っ取りを企てるという通常の「仕事人」のパターンから大きく離れたストーリー構成が採られたため、明確な頼み人が登場しないエピソードとなった。 |
12 | 573 | 1984/01/20 | 勇次 鼠小僧に間違えられる | 篠崎 好 | 黒田義之 | 河原崎建三(青山十郎)/桜町弘子(浪路)/井上ユカリ(妙)/南条好輝(清吉)/伴勇太郎(照旦) | 「新・仕置人」の死神役・河原崎建三がメインのゲスト悪役として出演。 |
13 | 574 | 1984/01/27 | お加代 りつの殺しを頼まれる | 篠崎 好 | 八木美津雄 | 赤座美代子(るい)/牧 冬吉(田島屋利兵衛)/升 毅(湊屋長二郎)/入江慎也(小野寺主膳)/石倉英彦(弥七)/島村美妃(小雪) | |
14 | 575 | 1984/02/03 | 主水 節分の豆を食べる | 中原 朗 | 家喜俊彦 | 村上弘明(小平次)/戸浦六宏(霞の平蔵)/堀内正美(弥助)/下元年世(定八)/森下祐己子(おふみ) | ・「仕事人Ⅴ」以降、メインの「仕事人」キャラクターとして定着することになる花屋(鍛治屋)の政役・村上弘明の”テスト出演”回(既に同回エピソードを製作・撮影していた時点で秀役・三田村邦彦の本作限りのシリーズ降板が決定事項となっており、次回作での「仕事人」で三田村に代わる新キャラクターを登場させる必要に迫られた製作サイドがそのキャストの有力候補の一人として村上弘明をピックアップ、”テスト登板”の意味合いを兼ねて、同回で秀と何かと因縁めいた関係性を持った敵陣営の仕事人役として村上をゲスト出演させた。この回で村上は既に人気絶頂期の最中にあった三田村と互角の存在感を示し、この出演をきっかけとして次回作の「仕事人」での三田村の後継キャストとしてのレギュラー参加が正式に決定した)。 |
15 | 576 | 1984/02/10 | 順之助 いよいよ受験する | 林 千代 | 田中徳三 | 平泉 成(長次郎)/黒部 進(山野)/千野弘美(月江) | ・大学の受験シーズン到来に併せて製作された回。 |
16 | 577 | 1984/02/17 | 主水 転職を夢見る | 中原 朗 | 松野宏軌 | 犬塚 弘(木村)/松本留美(おすみ)/有川正治(松五郎)/土屋靖雄(甚兵衛)/武村 明(政吉) | |
17 | 578 | 1984/02/24 | 勇次 吉原遊女に惚れられる | 中原 朗 | 松野宏軌 | 風祭ゆき(小紫)/新井康弘(彦太郎)/雪絵ゆき(浦里)/佐伯赫哉(利兵衛) | |
18 | 579 | 1984/03/02 | なんでも屋の加代 花嫁になる | 篠崎 好 | 広瀬 襄 | 工藤明子(お美津)/可知靖之(同心・瀬川)/小林芳宏(清吉)/伊藤克美(矢七)/福家美峰(お園) | |
19 | 580 | 1984/03/09 | 秀、天気を当てる女に出逢う | 吉田 剛 | 家喜俊彦 | うえだ峻(紋太)/賀田ゆう子(お袖)/高木二朗(金兵衛) | |
20 | 581 | 1984/03/16 | 主水、宮本武蔵の子孫と試合をする | 保利吉紀 | 広瀬 襄 | 川合伸旺(彦兵衛)/高峰圭二(清太郎)/北川めぐみ(おしま)/大下哲矢(向井甚内)/糸 民子(おいよ) | |
21 | 582 | 1984/03/23 | 主水 仲人を頼まれる | 林 千代 | 田中徳三 | 藤木 孝(角蔵)/本郷直樹(倉田)/原田真紀(お八重)/徳永まゆみ(由美) |
※後期(第22話~第43話)の放送回一覧は”「必殺仕事人Ⅲ」(♯22〜♯43)の項にて記載。
- 最終更新:2016-04-28 19:48:09