必殺仕事人Ⅲ(1982〜1983年)【SP02〜♯18】

第19作「必殺仕事人Ⅲ」【SP版第2作「仕事人大集合」〜第18話まで】

  • 放送期間(話数):1982/10/08〜1983/07/01(全38話)(+特別編2回:1982/10/01【「仕事人大集合」】・1982/12/31【「(秘)必殺現代版」】)
    • 本作は放送期間が「必殺」シリーズ作品としては長期放送に及ぶ(レギュラー話数全38話+特別編2話、通算計40話・3クール超)ため、編集都合から本項ではレギュラー放送開始の前週に放送されたSP版第2作「仕事人大集合」(1982/10/01放映)〜レギュラー版・第18話(1983/02/11放映)までの放送分につき、下記にて取り扱うこととする。
  • 放送時間:(金)22:00-22:54
  • レギュラー・準レギュラー出演者(SP2「仕事人大集合」〜♯18まで)
    • 中村主水:藤田まこと
    • 飾り職人の秀:三田村邦彦
    • 何でも屋の加代:鮎川いずみ
    • 西順之助:ひかる一平(♯1〜38)
    • 筆頭同心・田中:山内敏男[としお]
    • 西巴:三浦徳子(♯1・3・4・6・15・22・24・33)
    • 西順庵:溝田 繁(♯1・27)
    • 塾の先生:北村光生(♯1〜4・14)
    • 塾生:久米 学(♯1〜4)/土屋八大(♯1〜4・14)、ほか
    • 中村りつ:白木万理
    • 中村せん:菅井きん
    • 三味線屋の勇次:中条きよし
    • おりく:山田五十鈴(♯1・2・6・7・12〜14・21・33・34)
      1. ひかる一平は「仕事人大集合」には出演せず(初登場は本作レギュラー版の第1話から)。
      2. 1982/12/31放送のスペシャル版第3弾「必殺(秘)現代版」に関しては、本作の世界をそのまま現代の設定に移した”セルフパロディ”作品として製作された経緯から、主水役の藤田、せん役のりつを除く同回における上記の主要レギュラーキャスト陣の役名は何れも現代調の修正が加えられている(中条きよし:山田勇次/三田村邦彦:村上/鮎川いずみ:長谷川加代/白木万理:中村りつ/山内敏男:係長・田中)。尚、ひかるは本放送時に本編ドラマパートの合間に挿入されたスタジオパートのみの出演、山田五十鈴は同回には出演せず。
  • スタッフ等(「仕事人大集合」〜♯18)
    • 製作:山内久司(朝日放送)
    • プロデューサー:仲川利久(「仕事人大集合」〜「(秘)必殺現代版」)・辰野悦央(♯9〜38)(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
    • 脚本:野上龍雄/高山由紀子/吉田 剛/保利吉紀/石森史郎/篠崎 好/三田純市/加田藤穂/仁多雪郎   
    • 音楽:平尾昌晃
    • OPナレーション:中村梅之助
    • 主題歌:「冬の花」(詞:石坂まさを/曲:平尾昌晃/編:竜崎孝路/唄:鮎川いずみ CBSソニー)
    • 挿入歌(♯15〜):「忘れ草」(詞:杉 紀彦/曲・編:三木たかし/唄:中条きよし テイチクレコード)
    • 監督:工藤栄一/田中徳三/松野宏軌/黒田義之/貞永方久/八木美津雄/家喜俊彦/石原 興
    • 協力:エグラン演技集団 
    • 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
    • 制作:朝日放送/松竹
  • オープニングナレーション(作:山内久司、ナレーション:中村梅之助)
 「世の中の善と悪とを比べれば 恥ずかしながら悪が勝つ 神も仏も無えものか 浜の真砂は尽きるとも 尽きぬ恨みの数々を 晴らす仕事の裏稼業 へへ、お釈迦様でも気が付くめぇ」
  • 放送リスト
話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト 備考
制作前史 ・「仕事人」路線の好調ぶりから、「新・仕事人」放映中の早い段階から「納涼必殺まつり」終了後に製作が開始される”中村主水”シリーズの次回作も「新・仕事人」の作品世界をそのまま踏襲した「仕事人」シリーズの新作を製作する計画が立てられた。しかし、「仕事人」人気の火付け役となった飾り職人の秀役・三田村邦彦が「新・仕事人」の製作途中で、同役の人気に着目した日本テレビ系・岡田晋吉プロデューサーからの要請に応じる形で当時、岡田が製作を指揮していた刑事ドラマ「太陽にほえろ!」へのレギュラー起用が決定。東京の撮影所で撮影が行われる「太陽に―」と京都の撮影所で撮影が行われる「必殺」の長期にわたる両立は困難と判断した「必殺」製作陣は、「新・仕事人」の放送終了をもって三田村を「必殺」から卒業させ、次回作には新たな若手仕事人を投入させる方針を固めた。
・上記の秀の後継キャラクターに関しては、製作当時の若年層を取り巻く環境(受験戦争の苛烈化、モラルに対する若者の意識の変化等)や仕事人チームの年代構成に家族的な幅を持たせることによって広汎な世代層の視聴者の取り込みを徹底したいとの製作意図を念頭に置いて人物設定の作業が進められ、この結果、年齢は10代(現代でいう高校3年生〜大学1年生の年齢を想定)、表の顔は医師の父を持つ裕福な家庭に育ち、自身も父の志を継いで医業への道を夢見る受験生、裏稼業への参加動機も「世直し」「正義を守る」といった理想主義的なもので、度々、学業を優先して裏稼業への参加を何ら躊躇もなしに断ってしまう事すらあるという、これまでの”現実主義な価値観を持つ大人たちのドラマ”として描かれ続けてきた「必殺」の基本的世界観とは大きくかけ離れた異色のキャラクター・”西順之助”が誕生。このキャラクター設定の異色性に沿ってキャスティングも進められ、当時弱冠18歳、「3年B組金八先生」の生徒役を経て、前年歌手デビューしたばかりのジャニーズ事務所の若手アイドル・ひかる一平が起用された(尚、スペシャル版を含め歴代の全「必殺」作品における裏稼業者キャラクターを演じた俳優・タレントのうち、10代で抜擢されたのはこの「仕事人Ⅲ」におけるひかるのみである)。
・しかし、その後、三田村の降板が公になる前に一部週刊誌等でスクープされたために、三田村のファンを中心に多くの女性視聴者から彼の続投を求める投書等が番組サイドに殺到。この反響の大きさから当初方針から一転して三田村の「仕事人」次回作への続投が決定。結局、「新・仕事人」のレギュラー陣に、新顔として順之助を追加した布陣で本作の製作・撮影が開始される事となった。
・新キャラクター・順之助の加入により、「仕事人のこれまでの概念が通じない若者」と「仕事人としての規律に忠実な大人たち」との価値観の相違、そして価値観の通じない若者である順之助が、仕事人としての規律の中にはまり込み、一端の”仕事人”へと成長していくステータスを描くことが本作の一大テーマとなり、全体的には「新・仕事人」で確立された大衆向けのソフトな作風を踏襲しながらも、部分的にハードな描写(「殺し」に対して甘えのある順之助を主水や勇次(中条きよし)が鉄拳制裁する描写やピンチを招きかねない順之助の気性に気を揉む秀たちが彼を殺すかどうかを相談する描写等)が開始序盤では度々挿入された。
・また、前作第2クールから登板した山内敏男演じる主水の上司・田中もレギュラーの仕事人メンバーや中村家の面々と併せて本作に続投(主水の上司役が作品を跨いで登板するのは本作が初)。本作製作直前の「必殺まつり」で事務所の先輩である主水役・藤田まことの意見を参考に山内が試験的に取り入れ、観客からの受けも良かった”オカマ口調でヒステリック気味に主水を事ある事にいびり倒す”という役設定を本作でもそのまま踏襲。このキャラクター設定の変更は大衆向け作品としての地位を確立した「必殺」シリーズの変容の波に乗って好評を博し、以後、同心・田中も加代・秀・勇次ら主力の仕事人メンバーとあわせ「仕事人」路線では欠かせない名キャラクターとして息の長い人気を得続ける事となる。
・「仕舞人」の本田博太郎、「新・仕事人」の三田村邦彦、「新・仕舞人」の西崎みどりに続いて、本作では、加代役・鮎川いずみが主題歌の歌唱を担当。鮎川が歌った主題歌「冬の花」は最盛期を迎えた「仕事人」ブームの波に乗って、有線放送を中心としてヒット(尚、鮎川はこの年の日本有線大賞で新人賞を受賞)。「必殺」主題歌としては、「暗闇仕留人」の「旅愁」(唄:西崎みどり)に次ぐセールスを記録し、後期「必殺」を代表する楽曲として親しまれる事となった(これ以降、鮎川は続く「仕事人Ⅳ」(唄は「花の涙」)、「仕事人Ⅴ・激闘編」(唄は「女は海」)と本作を含め三度に渡って主題歌の歌唱を担当した)。
・(レギュラー放送時)の本作サブタイトルは全て「〜のは××(第4話以降は主水を中心とする本作レギュラーキャラクター名の何れかが入る)の形式で統一。
SP2 1982/10/01 必殺シリーズ
10周年記念スペシャル
仕事人大集合
野上龍雄
高山由紀子
工藤栄一 【「仕事人」ゲスト】
緒形 拳(知らぬ顔の半兵衛)/沖 雅也(棺桶の錠)/森田健作(仕掛の天平)/藤村富美男(元締・虎)/二代目中村雁治郎(鹿蔵)/フランキー堺(名倉堂与市)/常田富士男(伊八)
【その他】
西郷輝彦(仲村主水)/小松方正(角屋宗兵衛)/アイ・ジョージ(セクンデ)/スターニャ・ブチンスカー(マリア)/リチャード・レッシュ(カピタン)/亀石征一郎(通訳・篠原)/梅津 栄(美代次)/堀内正美(清次)/大前 均(竜)/ルーク・ジョンストン(テオ)/ハワード・モヘッド(ジェレミー)/ドウェイン・ブラッドシュウ(リストン)/テイラー・グランド(ヤンセン)/宮田圭子(お夕)/永田光男(喜平)/宮本毬子(妙春尼)/中村光辰(弥平)/野上哲夫(佐山)/伊波一夫/千葉 保/平岡 和/美鷹健児/中塚和代/諸木淳郎/倉谷礼子/松尾勝人/萩原広行/丸尾好広/加茂雅幹/東 悦次/加藤正記/扇田喜久一/山村嵯都子/平井 靖/的野真衣/伊藤克美/花柳陽要
「必殺」シリーズの放送開始10周年記念作品及び、本作スタートに当たってのエピローグ作品(事実上の「仕事人Ⅲ」”第0話”扱い)として製作・放映。10周年を記念して「仕置人」の棺桶の錠(沖雅也)を筆頭に「必中仕事屋稼業」の知らぬ顔の半兵衛(緒形拳)、「新・仕置人」の「虎の会」元締・虎(藤村富美男)、「仕事人」初作における初代元締・鹿蔵(二代目中村雁治郎)ら過去シリーズで人気を得た仕事人が物語の要衝で随時登場したほか、過去シリーズで馴染み深い劇中BGMを多数流用させるなど、旧来からの番組ファンに向けたサービス要素の強い構成が採られる一方、「オランダからの舶来品を扱う貿易商が惨殺され、その背景にオランダ人の一味が加担している事に感づいた仕事人たちが助っ人の仕事人たちの力を仰ぎながら悪人たちの制裁のために長崎へと向かう」という異色のストーリー展開を活かし、悪役俳優人や被害者の配役に外国人俳優を多数起用したり、仕事人チームと悪人一味との決闘シーンでは拳銃を使用する場面が多数挿入される等、「仕事人」らしい斬新な要素も随所に盛り込まれた。
・尚、同特別編を企画するに当たって、当初、製作陣は前期「必殺」でも特に根強いファンからの支持を得ている念仏の鉄を再登場させるべく、同役を演じた山崎努にゲスト出演のオファーを出したもののこの話に山崎側があまり乗り気ではなかったために遭えなく断念(山崎は”一度演じた役は二度と演じない”というポリシーを持っていることで知られ、そもそも「新・仕置人」における鉄役の再演も山崎のそれまでのキャリアから見て異例中の異例の出来事であった)、代わって「必殺」シリーズの記念すべき第1作「仕掛人」のメインキャラクター・藤枝梅安を演じた緒形をゲスト出演させることとなった。但し、緒形も当時映画「楢山節考」「陽暉楼」や単発の長時間ドラマへの出演等、スケジュールが多忙を極めていた最中にあり、右の映画・ドラマでの役柄上、梅安のトレードマークでもある”坊主頭”を再現することが不可能であった事に加え、本作撮影に参加できる日程が1〜2日程度しかなかった事情もあり、梅安以外の役柄で緒形が演じたキャラクターの中でも人気の高い半兵衛役で、しかも本編の主流のストーリー展開とはあまり関わりのない数カットのみの出演という限定的な形での”復帰”となった。
・同回より鹿児島県での放送ネット局が南日本放送(TBS系)から同回放送当日に開局したテレビ朝日系の新局・鹿児島放送へと移行。
1 511 1982/10/08 殺しを見たのは受験生 吉田剛 田中徳三 岡部典子(お弓)/常泉忠通(宮部菊麿)/島 米八(勘助)/鈴木金哉(石田)/筑波 健(和吉)/伴勇太郎(森)/島村晶子(お栄)/増岡美樹(お国)/伊波一夫(大黒屋) ・本作の”新顔”・西順之助(ひかる一平)が初登場。
2 512 1982/10/15 下駄をはかせたのは両替屋 吉田剛 松野宏軌 黒部 進(林伊蔵)/黒田福美(お力)/賀田裕子(お袖)/西山辰夫(分銅屋宗兵衛)/南条好輝(与吉)/柳原久仁夫(喜助)/諸木淳郎(利平)/中塚和代(湯女)/倉谷礼子(仲居)/大矢敬典(客引)  
3 513 1982/10/22 アルバイトをしたのは同級生 篠崎 好 田中徳三 高木二朗(枡屋)/清水めぐみ(おせき)/津田和彦(周平)/徳田興人(元円)/武 周暢(西村)/玉生司朗(矢吉)/滝 譲二(熊蔵)/江並 隆(与力)  
4 514 1982/10/29 火つけを見たのは
二人のお加代
加田藤穂 松野宏軌 新谷由美子(おかよ)/丹古母鬼馬二(寅造)/伊藤武史[幸雄](新二郎)/五味龍太郎(将監)/関根大学(陽一郎)/工藤 健(玄之介)  
5 515 1982/11/05 夢の女に惚れたのは秀 吉田 剛 松野宏軌 長谷直美(お銀)/外山高士(矢野道斎)/剣持伴紀(道有)/田中弘史(木田仁平)/山本 弘(河野一太郎)  
6 516 1982/11/12 女牢に目をつけたのは主水 加田藤穂 田中徳三 小笠原良知(最上参三)/長谷川待子(お兼)/舟倉たまき(お栄)/芝本 正(勘造)/北見唯一(越中屋)/白川浩二郎(石出頼母)/大川かつ子(お咲)  
7 517 1982/11/19 捨て子をされたのは
三味線屋の勇次
篠崎 好 松野宏軌 今出川西紀(お小夜)/佐藤仁哉(芳松)/牧 冬吉(坂井勝重)/梶本 潔(伊勢屋)/入江正徳(棹屋)/河野 実(吉蔵)  
8 518 1982/11/26 窓際族に泣いたのは主水 篠崎 好 八木美津雄 野平ゆき(お糸)/浜田 晃(八州屋)/岩田直二(島田忠信)/小林芳宏(島田信一郎)/大木晤郎(左門)/有川正治(留五郎)/山本一郎(佐吉) ・後期「必殺」の全盛期における演出陣の要の一人、八木美津雄のシリーズ初演出回(八木は「仕事人Ⅴ」の序盤まで「必殺」に参加)。
9 519 1982/12/03 年末賞与を横取りしたのは
せんとりつ
石森史郎 黒田義之 平泉 征[成](政吉)/辻 萬長(田山力弥)/服部妙子(お春)/根岸一正(仁平)/永野辰弥(加島兵部) ・1982年末の朝日放送局内の人事異動で配置換えが内定した番組プロデューサー・仲川利久の後任として辰野悦央が同回より製作に参加(尚、1982年12月放送分までは業務引継ぎのため仲川も辰野と共に引続き番組プロデュースを担当)。
10 520 1982/12/10 子供にいたずらされたのは
主水
仁多雪郎 八木美津雄 千野弘美(千世)/椎谷健治(真辺紳之進)/堺左千夫(松五郎)/中浜健太郎(考平)  
11 521 1982/12/17 恋の重荷を背負ったのは秀 吉田 剛 貞永方久 竹井みどり(お六)/田中 綾(お梅)/北村英三(治平)/大下哲矢(岡田)  
12 522 1982/12/24 つけ文をされたのは主水 三田純市 田中徳三 堀内正美(山下菊弥)/仁和令子(お波)/高並 功(鳴海)/丸平峯子(お馬)  
SP3 1982/12/31 (秘)必殺現代版
主水の子孫が京都に現れた
仕事人vs暴走族
吉田 剛 石原 興 芦屋小雁(仙田吾助)/山口朱美(仙田いく)/中西紫野(仙田祐子)/内田正幸(健一)/西脇美智子(トレーナー)/渥美 博(隆)/井上 孝(次郎)/葭川 浩(弘平)/宮本毬子(新田)/三笠敬子(木下)/浜 伸二(ヤクザ)/白 礼花/国田栄弥/鈴木猛士/斉田真由美/矢野裕子/伊波一夫/芝 弘/浜田雄史/高木峯子/加藤春雄/マイクスタンドチーム<協力>/全日本ボディビル実業団連盟<協力> ・この年(1982年)の大晦日が偶然にも「必殺」が放映される金曜日に当たる点に着目したテレビ朝日は、当時毎年70%以上の驚異的な視聴率を記録し続けていた「NHK紅白歌合戦」の放送時間帯(21時〜23時台)に自社製作による単発特別編成ではなく、番組人気が絶頂に達しつつあった本作のワイド版を編成する方針を決め、その意向に沿って朝日放送・松竹は製作準備に着手。”打倒紅白”の重責を担う事となった製作サイドは”時代劇の皮を被った現代劇”というスタンスを採る「必殺」にしか出来ない芸当を見せ付ける事で「紅白」に対してマンネリズムを感じている視聴者層の取込みを図る目論見を立て、この方針の下、大晦日放送の特別編として単なる本作の拡大版ではなく、レギュラー出演陣とその役柄、放映当時の世相を反映させたストーリー展開、コメディ要素の多用など、本作のプロットをそのまま現代劇に流用した”セルフパロディ”作品として同エピソードを企画。非行少年の暴走が過熱化していた当時の時世をベースに、「仕事人」の子孫たちが先祖由来の殺し技を現代調にアレンジして(同エピソードでは勇次(中条きよし)の”武器”は”三味線の糸が切れやすく使い物にならない”という理由付けでピアノ線に、秀(同回の役名では秀夫、三田村邦彦)の”武器”は”錺が派手すぎて目立って使えない”という理由付けで装飾を排した新調の簪へとそれぞれ修正されているほか、主水(藤田まこと)の殺し技も”先祖が使っていた刀が錆びて使い物にならない”という設定から、加代(鮎川いずみ)との連携の下、”工事作業員に扮してわざと崖のある方向へと暴走族を誘導し、転落死に至らしめるという手法に大きく変更されている)死に追い遣る非道を演じた非行少年(暴走族)を制裁する様が本編内では描かれる事となった。また、番組構成の”バラエティ化”が本作人気の下支えとなっている現状を逆手に取り、ドラマパートとは別個に”「仕事人」の年内の撮影が終ったキャスト・スタッフ陣がプロデューサー陣には内緒でプライベートフィルム(同回のドラマパートに相当)を作製し(この設定が同回タイトル内の”(秘)”の由来となっている)、慰労会を兼ねた上映会を大晦日の夜に撮影所のスタジオ内で行う”という設定の下、主水役の藤田を司会役に据えたスタジオパートを別途制作。同パートをOP・ED時のほか、CMに入る前後に随時に挿入するというスタジオバラエティの要素をも盛り込んだ変則的な放映形態が採られる等、異色の時代劇である「必殺」の歴史の中でもとりわけ”異色性”の際立った放映回となった。
・時代劇の枠をあえて外して”現代劇作品”として、尚且つバラエティとドラマを融合させた異色の番組構成で放映された同特別編であったが、「紅白」を相手に関西で15.9%、関東でも11.2%の高視聴率をマーク(当時、「紅白」の真裏の民放各局の番組視聴率は総じて一ケタ台に低迷するのが普通で、二ケタの大台に乗せる事はほぼ不可能に近いとまで放送業界内では捉えられていた)。一方、この「必殺」サイドの健闘の煽りを受ける形でこの年の「紅白」の視聴率は久々に関東地区で70%の大台、関西でも60%台を割り込む結果に(関東:69.9%、関西:58.5%)。この放送史上に残る”大番狂わせ”を演じた事で「仕事人」に対して放送業界・視聴者からの注目が一段と高まり、「仕事人」ブームは翌年(1983年)以降、更に過熱化の一途を辿ってゆく(尚、同特別版制作に際して、朝日放送サイドが「関西で15%以上の視聴率を記録した場合は、大宴会を行う」旨の約束をしており、この結果を受けて、翌年初頭に大阪のホテルプラザ(朝日放送の系列会社)にてキャスト・スタッフを集めての大規模な”祝勝会”が催されたという)。
・同特別版をもって、「仕掛人」より番組に携わってきた仲川利久プロデューサーが人事異動のため番組製作から離脱(翌年1月放送分からは引続き松竹サイドのプロデューサーを務める櫻井洋三と仲川の後任として前年末より製作陣に加わったABC側の新プロデューサー・辰野悦央のコンビ体制で番組製作を担当)。
13 523 1983/01/07 上役の期待を裏切ったのは
主水
保利吉紀 黒田義之 唐沢民賢(虎造)/北原理絵(菊千代)/江口正昭(音吉)/西田 良(富五郎)/星野恵美子(お梅)/石倉英彦(原田)/野上哲矢(河合)  
14 524 1983/01/14 婦女暴行を見たのはおりく 吉田 剛 八木美津雄 白石奈緒美(高野ゆい)/土屋八大(高野弥太郎)/上野実千代(小万)/淡城みゆき(おきぬ)/草木宏之(鳥居一弥)  
15 525 1983/01/21 加代に死の宣告をしたのは
主水
石森史郎 松野宏軌 佐野アツ子(お紋)/中田博久(早川菊馬)/芝本 正(宗八)/玉生司朗(越前屋)/志乃原良子(お仲)/川上恭尚(文太)  
16 526 1983/01/28 饅頭売って稼いだのは
お加代
加田藤穂 田中徳三 内田 稔(上田監物)/佐藤京一(頑天)/升 毅(三之助)/速水典子(お光)/徳田興人(覚明)  
17 527 1983/02/04 花嫁探しをしたのは勇次 吉田 剛 八木美津雄 山本紀彦(勘七)/村田みゆき(お糸)/及川智靖(伍作)/伴勇太郎(関根)/日高 久(伊平)/出水憲司(駒井)/海老江寛(上州屋)/滝 譲二(仁吉)/葭川 浩(喜助)  
18 528 1983/02/11 月の船を待っていたのは秀 吉田 剛 家喜俊彦 山本昌平(長次)/井澤明子(お照)/山本一郎(島太郎)/増田壮太郎(勘太)/丘路 千(松蔵)/野崎善彦(金助)/富士圭一(多吉)/田中義尚(小平)/神藤一弘(六助)  
※後期(第19話〜第38話)の放送回一覧は”「必殺仕事人Ⅲ」(♯19〜♯38)の項にて記載。


  • 最終更新:2015-08-10 23:49:00

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