必殺からくり人・血風編(1976〜1977年)

第9作「必殺からくり人・血風編」

  • 放送期間(話数):1976/10/29〜1977/01/14(全11話)
  • 放送時間:(金)22:00-22:54
  • レギュラー・準レギュラー出演者
    • 土左ヱ門:山崎 努
    • 直次郎:浜畑賢吉
    • 新之介:ピーター(池畑慎之助)
    • おまき:木島 幸(♯1〜4・6・8〜11)
    • おたね:小林トシ江(♯1〜8)
    • 長吉:黛康太郎(♯1・2・8)
    • 女郎:河野ひとみ(♯1〜4・9)/岡田恵子(♯1〜4・9・11) 
    • 熊谷隊長:桑山正一(♯1・2・9・10)
    • おいね:吉田日出子(♯1〜7)
    • おりく:草笛光子
  • スタッフ等
    • 制作:山内久司・仲川利久(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)
    • 脚本:村尾 昭/安倍徹郎/保利吉紀/中村勝行/工藤栄一/貞永方久/播磨幸治/神代辰巳/大和屋竺/水原秋人
    • 音楽:平尾昌晃
    • 編曲:竜崎孝路
    • 撮影:石原 興 
    • ナレーション:芥川隆行
    • 主題歌:「負犬の唄(ブルース)」(詞:荒木一郎/曲:平尾昌晃/編:竜崎孝路/唄:川谷拓三 キャニオンレコード)
      • 前作「必殺からくり人」から継続使用(但し、前作では1番パートが使用されたのに対し、本作では2番パートが使用されている)
    • 監督:工藤栄一/蔵原惟繕/貞永方久/松野宏軌/渡邉祐介
    • 制作協力:京都映画撮影所(松竹撮影所)
    • 制作:朝日放送/松竹
  • オープニングナレーション(作:早坂 暁、ナレーション:芥川隆行)
 「さよならだけが人生か それならこんちは何なのさ 昨日勤皇、今日佐幕 昨日ほんとで今日はウソ 雨は降る降る、血の雨が 人の情けは泥まみれ あした天気になぁれ」
  • 放送リスト
話数 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト 備考
製作前史 ・当初、前作「からくり人」の次の作品として、3年ぶりに山崎努をシリーズに復帰させた上で、第2作「仕置人」の続編となる”中村主水シリーズ”第5弾「新・必殺仕置人」が4クール放送(全52話)の予定で企画されていたが、”同じ役のオファーは2度引き受けない”という方針を採っていた山崎の説得に加え、山崎のシリーズ復帰によって、主演にも関わらず、「仕事屋稼業」「仕業人」に続いてキャストクレジット上の扱いが”トメ”に回されかねないとの危惧を抱いた中村主水役・藤田まことサイドが”新作でもトメに回される事態であればシリーズ自体から降板する”との厳重抗議が入り、山崎サイド・藤田サイド双方への調整作業に追われた事、更に主水の姑・せん役を演ずる菅井きんも当時実娘の縁談を控えており、”イビリ”役である同役のイメージによりこの縁談が破綻になる虞があるとしてシリーズ降板の申出があり、その説得が難航した事等、キャスティング面で問題が重なった影響で製作準備が大幅に遅滞。そのため、「新・仕置人」出演を見越して先に1年間のスケジュールを確保していた山崎に念仏の鉄とは別の役(土左ヱ門役)を用意(但し、本作製作開始の時点で既に山崎は鉄役でのシリーズ復帰を承諾していたとされる)し、山崎を中心に「必中仕置屋稼業」の元締・おせい役でレギュラー出演の経験を持つ草笛光子、「仕業人」最終回での客演が好評を得た浜畑賢吉、過去作で数回ゲスト出演の実績を持つ吉田日出子に、シリーズ完全初参加のピーターを加えたレギュラー陣を急遽起用して「からくり人」シリーズの第2弾として本作を製作することとなった(上述の「新・仕置人」キャスト問題については本作製作・放映期間内での解決を図ることに)。このような経緯もあり、新たな劇中BGM・主題歌の製作も間に合わず、結局、主題歌「負犬の唄」(「からくり人」主題歌)を初め本作の劇中音楽は全て旧シリーズ作品からの流用で凌ぐ形となった。
本作は、慶応4年(1868年)当時の江戸(厳密には品川)を舞台としており、「必殺」全作品中、最も現代に近い時代背景の下でストーリーが展開される。当時の江戸は薩長の官軍が幕府の本拠・江戸の街の占拠に本格的に乗り出した時期に当たり、”情け”を大きな価値基準として活動をするからくり人の暗躍ぶりの一方で、隠れたテーマとして官軍と幕府との対立の間に置かれ、半ば無法地帯の様相さえ呈しつつあった時の江戸町内の混沌ぶりが劇中の随所で描き出された(本作のからくり人のアジトが洋館の一室のような空間となっていたり、軍服を身に纏った髷姿の兵士が大挙して街中を闊歩する場面が劇中で幾度も挿入されているのもこのテーマの延長線上にある”旧態の価値観の崩壊”を強調する意味合いから劇中に取り入れられたものである)。
・本作のサブタイトルには全て「紅い」の文言が挿入されている。
1 218 1976/10/29 魔窟に潜む紅い風 村尾 昭 蔵原惟繕 柳沢真一(芳太郎)/宮本信子(お国)/田口 計(伝八)/西川ひかる(おまん)/原口 剛(脇坂鉄之助)/上野山功一(諸岡歳三)/大林丈史(山県専之介)/下元年世(矢島源十郎)/石浜祐次郎(善造)/山本 弘(浅次)/北見唯一/天の夕づる(講釈師)/希音屋社中(和楽)  
2 219 1976/11/05 非道にたてつく紅い刃 安倍徹郎 工藤栄一 柳沢真一(芳太郎)/浅香光代(お梅)/有吉ひとみ(おさわ)/西川ひかる(おまん)/浜田 晃(浪士組・藤木)/湯沢 勉(山下)/五味龍太郎(浪士組・稲垣)/田中弘史(密偵・黒田)/寺下貞信(定七)  
3 220 1976/11/12 怒りが火を噴く紅い銃口 神代辰巳 工藤栄一 日下武史(伊勢長兵衛)/江幡高志(源三)/麦 圭介(吉次)/出水憲司(密偵)/川崎裕之(利吉)  
4 221 1976/11/19 大奥の天下に挑む紅い声 保利吉紀 貞永方久 中原早苗(染井)/横山リエ(おこと)/松山照夫(弥七)/阿藤 海[快](勘八)/唐沢民賢(影)/岩田直二(井筒屋)/天王寺虎之助(和尚)/宇佐美千絵(相良)  
5 222 1976/11/26 死へ走る兄弟の紅い情念 神代辰巳 蔵原惟繕 中島久之(佐久紺次郎)/中野誠也(佐久洋三)/大崎紀子(お香)/寺元節子(お花)/市川男女之助(神官) ・”殺し”は行われず。
6 223 1976/12/03 悲恋を葬る紅い涙 中村勝行 渡邉祐介 鮎川いづみ[いずみ](お栄)/春風亭柳朝(蛙の彦六)/剣持伴紀(宇佐美源四郎)/島 米八(清吉)/平沢 彰(金井)/浜 伸二(塩沢)/宮川珠季(土田)  
7 224 1976/12/10 恨みに掉さす紅い精霊舟 大和屋竺 蔵原惟繕 樋浦 勉(精霊村源二郎)/浜村 純(楫取吾兵衛)/牧 冬吉(密偵)/松岡与志郎(三崎屋忠兵衛)/伴勇太郎(喜三次)/野上哲也(仁介)/野崎善彦(八蔵)/ライナ・ゲスマン(米人・ヘイズ) ・同回をもっておいね(吉田日出子)が退場。
8 225 1976/12/17 帰らぬ愛に泣く紅い旅 安倍徹郎 貞永方久 高杉早苗(縫)/大谷直子(おはつ)/綿引 洪[勝彦](浄吉)/富川徹夫(左近)/出水憲司(大岡)/浜田雄史(本間) ・同回をもっておたね(小林トシ江)が退場。
9 226 1976/12/24 小判が眼をむく紅い闇 播磨幸治
貞永方久
松野宏軌 菅貫太郎(儀兵衛)/石山律雄(武)/八城夏子(おさよ)/唐沢民賢(湊屋番頭・伊助)/千葉敏郎(源田)/柳川 清(善右衛門)/井上 茂(中山伝八郎)/下元年世(作造)/池田幸路(加代)/美樹 博(船岡)/玉生司郎(米山)/芝本 正  
10 227 1977/01/07 とらぬ狸の紅い舌 水原秋人 松野宏軌 青木義朗(塚原兵衛)/江夏夕子(およし)/平泉 征[成](栄吉)/高峰圭二(源太)/武 周暢(六兵衛)/永野達雄(百虫屋)/西山嘉孝(釜屋)/石浜祐次郎(和泉屋)  
11 228 1977/01/14 夜明けに散った紅い命 工藤栄一 松野宏軌 新田昌玄(的場惣十郎)/木村 元(仙吉)/小林芳宏(徳松)/山口朱実(お豊)/島村昌子(お松)/暁新太郎(北川半蔵) ・直次郎(浜畑賢吉)が殉死。
製作後の展開 ・本作製作・放映の期間中に対応に追われることとなった「新・仕置人」キャスト問題については、まず山崎については製作サイド(特に朝日放送プロデューサーの山内久司、仲川利久)からの強い説得に翻意される格好で「念仏の鉄」役としてのシリーズ再登板、及びキャストクレジット上での扱いを「仕置人」の”主役”扱いから”トメ”扱いとすることについても了承する旨の回答を獲得。これに伴い、藤田まことをキャストクレジット上でも”主役(トップ)扱い”で起用できる運びとなった事を受けて、藤田サイドも降板の意向を一転撤回、シリーズへの続投を承諾。最後まで調整が難航した菅井きんの降板問題についても”縁談が成功するまでの間、新作の製作計画を延期させる”という条件で何とか出演承諾の回答を得られたことで一応の解決が図られる事となり、上記キャスト問題解決までの”繋ぎ”であった本作は11話で放映を終了。本来予定よりも1クール少ない3クールの放映予定で「新・仕置人」の製作・放送が開始される運びとなった。

  • 最終更新:2015-07-05 05:15:36

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード